#30「東北観光博〜人とつながる旅〜」 復興屋台村 気仙沼横丁 実行委員長 岩手佳代子さん
気仙沼横丁オープン
気仙沼出身でフリーアナウンサーの岩手さんは震災後、支援物資を被災者に届けるボランティア活動に参加していた。届けることを続けているうちに、避難所で暮らす人たちが物を受け取るだけではなく、将来を見据えた支援の必要性を肌で感じていた。そんな時、料理の腕前はあるのに、震災で店も道具も失くした人との出会いをきっかけに、そういう人たちが身ひとつですぐにでも営業できる場をつくろうと、気仙沼横丁プロジェクトが立ち上がった。実行委員長としての活動が始まった。
協調性を大切に
4月にプロジェクトを立ち上げ、11月にオープン。その間の行政との協議などには苦労もあったが、オープンしてからは順調に進んだ。横丁のカウンター席は8席。全国で横丁を開催している人のアドバイスを受け、一人で接客できる人数に合わせた。店は21店舗。すべてがカウンター8席という造りなので完成も早かった。店内の装飾は個々の店主に任せた。本当はただのプレハブの厨房器機とカウンターと椅子があるだけの場所を、それぞれが工夫し、彩り豊かで個性的な店が誕生した。店主は仲が良く、協調性を大切にしながら営業を続けている。継続的な集客のため、旅行会社と組んだり、月に1回以上のイベントを催している。「たくさんの皆さんが来てくださって、おいしいねぇって言って、ただお金を落としてっていうんじゃなくて、私たちこんなおいしいものが提供できますので、それを食べて笑顔になった分だけお支払いしていっていただけたらという気持ちです」と話す。
海の玄関口、気仙沼湾に復興の灯火を照らしたい
気仙沼横丁の特徴は、海から逃げなかったということ。すぐそこが海。まだ当初はガレキだらけだったが、海から人が入ってくる場所なので、その玄関口を明るくしないことには復興もないだろうと。支援物資も海から入っており、届けてくれる人たちを迎えるためにも、海の近くに提灯の灯りをつけようと、この場所を選んだ。海の潮風を受けながら、海の音を聞きながら、そしてフェリーが行き交うのを見ながら、そしておいしいものを食べられる楽しいひと時を過ごすことができる。それが魅力になっている。
気仙沼を体感してほしい
観光客や今他の地域からこの地に来る人々は、震災が起きたありのままのものを見ておきたい、目に留めておきたいという気持ちの人が多い。訪れる人の中には、もう1年以上経ってしまって、その時の状態ではないが、1年経ってもこの状態だというものを目に焼き付けておきたいと話す人もいる。「受け入れ側のおもてなしはどうにかするので、ここに来るまでの道だけでも早く作ってほしい」。津波から1年以上経ってもまだこの状態だということを知ってもらいたい。でも、せっかく気仙沼まで来てくださったので、おいしいものをいっぱい食べて帰ってほしい。風評被害というのはまだある。子どもに被災地のものを食べさせないでくれっていう声もある。でも、気仙沼の鰹は検査で数値は出ていない。情報をきちんと把握した上で気仙沼に上がるおいしいものをいっぱい食べてほしい。食、風景、人。気仙沼は特色を出せる街。「釣ってきた人が美味いぞ、うめぇぞ!って言えば、あっ、そりゃそうだ!って。いくらうんちくがあったって、釣ってきた人、生産した人、作った人、その人がうんめぇって言って自信を持って出すんだから、うまいに間違いはないんです」。
「復興」の2文字が消える日まで
「将来的には、カヨちゃん気仙沼に住んでいるんだ!うらやましいね、と言われるところまで気仙沼を持っていきたい」。今は皆さんの心の中には、復興のために気仙沼に行こうという思いがある。「復興」という2文字が取れて、気仙沼に行こう、気仙沼においしいものを食べに行こう、気仙沼に元気を貰いに行こう、気仙沼にキレイになりに行こう、そんなふうに気仙沼に目的を持って来てもらいたい。「復興」という2文字が取れたら、その時が気仙沼の本来の姿だと考えている。
BS12ch TwellV
8月7日(火)、14日(火)18:00~19:00
8月12日(日)、19日(日)早朝3:00~4:00