#30「東北観光博〜人とつながる旅〜」 秋田県 国際教養大学 4年 須崎裕さん
ずっと繋がり続ける、ずっと行き続ける
国際教養大学(AIU)の学生同士でボランティア活動に取り組む須崎さん。AIUサポーターの名で月に一度、気仙沼の仮設住宅に訪れている。 といっても大きな活動ではなく、小学生やおばあちゃんとゲームをしながらお喋りを楽しんでいる。そこで重要なのは、ずっと繋がり続ける、ずっと行き続けるということ。ある時ボランティアで小屋掃除をした。一週間後、また同じ小屋へ行くと、おばあちゃん達が簡易テーブルを広げておにぎりを作っている。「ご飯ですよ」。振舞ってくれたそのお米は、おばあちゃん達が他県からの支援としてもらったものだった。
「あなた達が毎週来てくれるから、なんとか気仙沼は復興している」。おばあちゃん達はそんな姿を見せたかったのかも知れない。須崎さん達が帰ったあとも同じ作業を繰り返し、掃除をし、米を用意して待ってくれていた。
ボランティアとは物理的にどれだけ泥かきが出来たかではない。行くことによっておばあちゃん達が元気になる。毎日を楽しく生きる。前に向かって生きる。そのきっかけになるのだと。
“おもしろい”から満員バスツアーへ
ボランティアとは別に、須崎さんが前々から行っているバスツアーがある。留学生や他県から来た学生に、秋田の面白さを知ってもらおうというものだ。月に一度バスを出し、須崎さんが見つけた「秋田の面白い場所」に連れていく。 元々は大阪出身の須崎さん。秋田へ来て、単純に「面白いところだ」と思った。収めた写真を友達に見せていると、行きたいという声があがった。最初は数人だったが、すぐに車に入りきらない人数になり、移動手段はバスへと変わった。今では満員で参加できない人も出るほどだ。ツアーは、Facebookや学内メール、ポスター等を使って周知している。
被災地にもっと多くの人が足を運んでほしい
「大自然とか、昔からあるお祭りとか。そういったものを通して、親子のような、おじいちゃんと孫のような関係になる。そんな機会を提供できたら」と須崎さんは笑う。 被災地に観光に行くというと、あまり良いイメージを持たない人も多いかも知れない。しかし実際に被災地を見てきた須崎さんは、「(被災地は)どんどん復興してるし、どんどん人を呼びたいと思っている」と話す。ただ単に施設を覗いたり、バスで様々なところを急いで回るのではない。一か所でもいいから長い時間をそこの人達を過ごしてほしい。何度も通って繋がってはじめて行ける場所もあるのだという。「本には載っていない絶景スポットというのは、実は地域の人しか知らない」。
学生である自分達だからこそ出来ることがある。地域の人たちとの繋がりを信じ、須崎さんは今も小さな“ずっと”を続けている。
BS12ch TwellV
8月7日(火)、14日(火)18:00~19:00
8月12日(日)、19日(日)早朝3:00~4:00