#33「写真がつなぐ人と未来」
株式会社ニコンが支援する「中学生フォトブックプロジェクト」。被災地の中学校にコンパクトデジタルカメラを寄贈し、生徒はフォトブック制作に向けて作品づくりに取り組む。テーマはそれぞれの学校で設定し、生徒ひとりひとりが、撮り、選び、伝えたい思いを言葉に換えて、写真に添える。ニコンは写真教室や作品展の開催支援などをしながら、活動の集大成となるフォトブックを印刷し、参加した生徒全員に手渡す。
2年目の今年は、47校の中学校が参加した。「写真は時間を超越し、未来への自分にも伝える事ができる。自分の故郷を思い出す1つのきっかけになれば」と考えている。
今年初めての写真教室となるのは岩手県の大槌町立吉里吉里中学校。小高い丘の上に立つモスグレーのモダンな校舎だ。校舎からは海が見える。震災の日、津波の第1波は30メートル程海水が引いた。第2波は船越湾の半分近くまで波が引き海の底が見えた。そして、真っ黒な大きな壁のような大津波があっという間に押し寄せたという。校舎に被害はなかったが、グラウンドは水浸しになった。震災後、グラウンドはヘリコプターの着地所になり、体育館は安置所となった。幸い在校していた生徒は避難して全員無事だったが、下校してしまった3年生の安否確認に一日を費やしたという。
吉里吉里中学校は現在、総合教育の時間で「地域の教育力を高める授業」を行っている。その中の1つに震災後の記録を撮る時間があったが、先生たちだけでは対応出来ない状況で困っていたところ、ニコンからフォトブックの活動の話が入り、賛同するに至った。沼田校長はこの活動を通じて「人と人との絆を大切にし、将来生徒たちがこの地域に集まり力を集結する」そんな力を身につけて欲しいと語る。
海を渡った子ども達のメッセージ
ニコンが支援した活動の一つに、オーストラリアで開催された「未来への教科書」写真展がある。これまで羽田空港や文部科学省などで行われてきた写真展だが、今回オーストラリアの実現国際交流基金(ジャパン・ファンデーション)主催によって初の海外開催を迎え、2012年5月10日から6月2日まで約一ヵ月間開催された。復興の過程で発見した、日本人の素晴らしさや底力。子どもたちが撮った写真とメッセージが、訪れた来場者の心を奪った。海を渡った「未来への教科書」。写真は時間だけでなく言葉の壁も越え、子どもたちの未来への思いをしっかりと伝えた。
BS12ch TwellV
9月18日(火)、25日(火)18:00~19:00
9月23日(日)、30日(日)早朝3:00~4:00