♯42「希望の種子~始まっている復興~」一般財団法人 瓦礫を活かす森の長城プロジェクト 総務 小野﨑穣さん

posted 2013/02/26 category 未来への教科書 Documentary Report

2011年の東日本大震災からまもなく二年

 小野﨑さんが参加している一般財団法人「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」は、東北の被災地の沿岸に木を植樹し、森の防潮堤を作ろうという活動を続けている。防波堤に利用されるのは、プロジェクト名の通り、震災で発生した大量の瓦礫だ。元々は木であり、家であり、生活の一部だった瓦礫。この活動にどのような思いが込められているのか。

目標は、300㎞にわたる”森の長城”を作ること

 青森県から福島県にかけての太平洋岸に、残土とガレキを利用して盛り土の土台を作り、そこに木を植える。瓦礫を埋めることで土壌の間に空気層が生まれ、より深く根を張ることが出来るようになるという。成長すれば幅30m~100m、高さ10m~15mの森となる。

 すでに岩手県大槌町や宮城県山元町などでは12,300本の植樹を終えた。また、植樹するポット苗9,000万本の生産体制を確立するため、種となるどんぐりを拾うツアーも開催されている。

必要なのは、その土地で育った”土地本来の木”

 より強い防波堤にするためにはその土地で育った木を植えることが重要だという。どんぐり拾いのツアーでは、北海道から九州までの約100名のボランティアが集まり、古くからこの土地にある木のどんぐりを採取した。何年も先の未来を思い描き、ひとつひとつ手作業で拾われたどんぐり。三年をかけて、植樹できる大きさまで育てられる。

神社の神主から復興プロジェクトへ

 元々は神社の神主だったという小野崎さん。震災に対して自分は何ができるのかと苦悩する日々の中でプロジェクトに出会い、参加を決意した。すべてをコンクリートで埋め固めてしまうのではなく、未来を思い描いて森にする姿勢に深く共感している。「職業としての神主は辞めてしまったんですが、生き方としては今もそして今後も続けていきたいと思っておりますね」。葉に隠れたどんぐりを拾い上げた感動を語り、頷いた。

BS12ch TwellV

2月5日、9日、12日、16日に放送されました。