♯42「希望の種子~始まっている復興~」NPO法人 福島農業復興ネットワーク 農場管理責任者 田中一正さん

posted 2013/02/26 category 未来への教科書 Documentary Report

避難生活を送る中、再出発のきっかけとは

 東京生まれの田中さんは、福島県相馬郡の飯舘村に移り住み酪農を経営していた。2011年でちょうど入植10年目を迎えようとしていた矢先に3.11の震災が起き、県外の牧場への移動を余儀なくされる。そこへ声を掛けたのが、福島市内にミネロファームという牧場を立ち上げたNPO法人福島農業復興ネットワークだった。

ミネロファーム建設への動き

 ミネロファームは原発事故により避難を余儀なくされた酪農家たちの就業機会を創出することを目的としている。酪農組合を通して被災した酪農家たちを対象に募集が掛けられ、飯舘村から田中さんを含めた2名、浪江町から2名、元々の牧場主1名の計5名が集まった。2012年5月に運営を始め、出荷量は当時こそ少なかったものの現在は軌道に乗っている。

共同型酪農経営モデルが特徴

 元経営者たちが集まり共同で牧場を運営するのがミネロファームの特徴だ。これまでは自分の家が農家のため、365日の出勤が余儀なくされていたが、交代で休みを取ることによって生活の質が上がった。更に技術を持った人間が集まって得意不得意を補い合うことで、非常に水準の高い牧場経営が実現したという。全国的に酪農家が減少している今、新しい酪農の形としても期待されている。

ミネロファーム、今後の5つの目標

 特徴である共同型酪農経営を、未来の酪農のモデルとして実践していくこと。被災して休業している農家の雇用を創出すること。福島県の酪農の復興に向け、農家のトレーニングの援助をすること。酪農を子どもの教育の場として活用すること。大学や企業と連携しながら、新しい酪農技術を開発すること。

 世界で最も老齢化が加速している日本。ヨーグルトや牛乳に含まれるたんぱく質やカルシウムへの理解を深めてもらい、未来の日本に貢献できたらと考えている。

BS12ch TwellV

2月5日、9日、12日、16日に放送されました。