「未来への教科書 出前授業第5回」を開催
2月23日、福島県相馬郡の福島県立新地高校で出前授業を実施しました。
この日の1日先生は人と種をつなぐ会津伝統野菜 代表 長谷川純一さん、清水薬草有限会社 清水琢さんでした。
清水琢さんは喜多方市の薬草会社を営む家庭に生まれ、幼い頃から薬草に囲まれて育ちました。東京の大学に進学し就職しながらも、なぜ会津に帰って実家を継ごうと思ったのか、そのきっかけや思いについてお話しいただきました。
原発事故の影響で原料の薬草が取れなくなってしまい、未体験の苦労を強いられましたが、その後オタネニンジンとの出会いがあり、生産するに至ったお話も伺いました。300年続くオタネニンジンをなくしたくはないという思いが清水さんを支えました。苦労は絶えないが、やってよかったと思うし、それによって新たなネットワークも生まれたと語ります。
オタネニンジンとはどんなものか、その効用や栽培方法などについて製品や写真などを使って説明いただきました。今後は、4年かかるオタネニンジンの育成の2年生ぐらいの若い人参を活用した食材開発を手がけるなど将来の展望についても伺いました。
長谷川純一さんの住む会津地方は古くから農業の盛んな地域ですが、時代の流れとともに100軒あった農家が今ではたった3軒となってしまいました。長谷川さんは、バドミントンに熱中した高校時代のこと、実際に農業に携わることになった苦労や楽しみなどについて語りました。最初は売れずにやめようと思ったこともあったが、先祖から伝わってきた伝統野菜を守り伝えたい一心から続け、地元の幼稚園や小学校の給食で伝統野菜を出すことが実現しました。現在では地元の会津農林高校で伝統野菜を教えています。
実際に「赤筋大根」という伝統野菜を持ってきてくださり、生徒たちに触らせてくれました。
長谷川さんは、伝統野菜とともに種がつなぐ縁をも大切にし、ネットワークを日本各地につないできたこと、伝統野菜の栽培方法にもこだわり、江戸時代から伝わる「会津農書」に基づいた農業を実践し、伝統的なやり方が現代でも通用することを証明してきました。現在では会津地方の世界農業遺産への登録を目指して仲間とともに活動しています。
最後に、生徒たちへお二人からメッセージをいただきました。
「より多くの人と出会ってほしい。いろんな世界を知ることから見えてくることがたくさんある」
(清水さん)
「失敗のある人生の方が、リスクも多いが楽しい。なんでもまずはやってみること。そして大変でも、続けることが大切」(長谷川さん)