福島取材訪問

posted 2011/12/13 category Blog

復興支援メディア隊 森です。
自分としては、震災後初めての東北地方訪問です。
被災地、特に福島の人々のあれからの心境を伺う機会を得ました。

 

1日目、福島県立あさか開成高等学校演劇部 福島県大会
”この空は本当の空ってことでいいですか?”
シナリオには今現在の彼らの状況がそのまま反映され、演劇の中で彼らは高校生、演劇部員、そして被災者。
後から聞けば先ず自分達がアドリブで演じ、それを自分達で台本に起こしたとの話、、、。
「あんたマスクはどうしたの?」「あんたがしないなら私もしないから!」
福島に来て誰と話す前に先ず、子供達の本当の声を聞いた 気がしました。
惜しくも東北大会出場は成らなかったけれど、誰に押し付けられた様子もなく。
「近頃腹の底から楽しんでいないから」とノビノビ演技をする彼らは本当に輝いて見えました。

 

2日目、おなじみ冨沢酒造店さん。
持ち前の明るさでこの悲劇を乗り越えようとしている彼らの姿は日本の宝です。
花春酒造さんの酒蔵を借りて出来た復興第一弾『日本再盛酒 白富士 活』。
この日は新しいレッテルのデザインの打ち合わせ。
そして、おいしく出来た『日本再盛酒 白富士 活』。
12月9日に経済産業省で行われたキーパーソン会議でお披露目することが出来ました。

 

そして、冨沢さんから紹介いただいた、動物病院 健心堂さん。
原発避難区域から来た、ペットの診療を受け付けている先生です。
ご自身、当たり前の事をしているだけで取材を受ける様な特別な事はないのです、と控えめな姿勢が美しかったです。
こういった人々でこの国は支えられているのだと考えさせられました。

 

3日目 相馬野馬追関係者 佐藤さん。
相馬市の野馬追は1000年以上の歴史を持つ馬500頭からなる盛大な祭(神事)です。
世界中にも類を見ない数の馬の祭りで国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
原発事故以降 馬は避難させ、3年間かけて佐藤さん自身がこつこつと作り上げた馬舎や運動場はいまは空になりました。
毎朝夕・週末、ご家族やお仲間そして馬と そこで過ごした時間はいつ戻るともわかりませんが、
佐藤さんは惨めになる事もなく「これからは除せんの事なども勉強し、復興に向けて自分の出来る事を地域の為にやっ てゆきたい」と どこまでも前向きです。
今年の野馬追は残念ながら馬無しで開催されましたが、来年は馬も出場出来る見込みだとの事、佐藤さん達ならばきっとやってくれる事でしょう、楽しみです!

 

飯館村農家 菅野さん。
原 発から40km程離れているにも関わらず基準数値を上回ったとして避難命令の出た飯館村、菅野さんはお仲間と空っぽになってしまった村の、除せん・草刈 り・パトロール等を遂行していらっしゃいます、山を歩いて細かな数値を計り、村の再生に向けて働いていらっしゃいます、冷静な物腰の中にも時々見え隠れする「人間の罪」に対する怒りは、山で育ち山を愛した人のものです。

 

取材中は家の中に居て出て来なかった奥様、最後にお茶をいただきましたが、その時に
「私は何も話したくないよ、愚痴になっちゃうから、、
でもね、悔しいよ本当に、年寄りがかわいそうだよ、みんなみるみる弱っていくよ、あの人達は村で
働いていなくっちゃダメなんだ、村に居られないなら死んだ方がましだよって あの人達は本当にやったよ、
戦争に行った人たちだ、、テレビ観たってお笑いばっかりじゃないか、忘れ去られた飯館村だって?
ふざけるんじゃないよ、がんばろう福島じゃないよ、がんばろう霞ヶ関だよ、役所行ったって東電行ったてみんな人ごとじゃないか、口喧嘩じゃ絶対にかなわない、本当に悔しい、、。」

 

かけてあげられる言葉がみつかりませんでした。

飯館村は本当に美しい所です。

 

 

復興支援メディア隊
森 丈裕