♯34「原発事故が引き起こしたもの~医療、行政、観光から見る福島~」会津若松市役所 室井照平さん

posted 2012/10/10 category 未来への教科書 Documentary Report

会津の魅力を武器にする

 2011年8月に会津若松市市長に就任した室井さんは、震災後の豪雨や風評被害により減少した観光客を呼び戻すため、様々な施策を行っている。武器にしているのは歴史観光だ。元々、会津は神社仏閣や自然などといった名所が多く、国宝級の仏像も点在している。自然に関しても、日本百名山の1つ磐梯山や、日本第4位の面積を誇る猪苗代湖に隣接していたりと魅力にあふれている。

 震災前から作成していたのは「極上の会津」というPR冊子だ。会津の17市町村の観光名所を取りまとめてあり、神社仏閣や各地のおいしい食べ物など、深く根付いている歴史や伝統文化をわかりやすく紹介している。

震災後の取り組みと今後の目標

 震災後の取り組みは、一つは各観光スポットを中心とした復興キャンペーンの展開だ。キャンペーンに参加している宿泊施設に泊まると、抽選で会津の特産品がプレゼントされる。また、一部施設では会津特選食材を使った食事プランの提供もあった。

 今後も会津を舞台にした映画やドラマと観光を連動させるなど、様々な企画を予定している。25年には会津出身の山本八重の生き様が、NHKの大河ドラマに取り上げられるという。さらに室井さんは、海外、特に欧米系の観光客の受け入れ準備にも力を入れていくという。

7回転んでも8回起き上がる

 室井さんの手にあるのは“起き上がり小法師”といい、福島県会津地方に古くから伝わる縁起物・郷土玩具の一つである。会津の人にとっては馴染みのある郷土玩具で、「十日市」という毎年1月10日に行なわれる縁日で、家族の人数+1個を購入し神棚などに飾る。何度倒しても起き上がる事から「七転八起」の精神を含有している。

 「この“起き上がり小法師”のような気持ちで今後の観光復興に取り組んでいきたいなと考えています」。小さく愛らしい小法師が持つ、「諦めない」という精神に、会津の今を重ねている。

BS12ch TwellV

10月2日(火)18:00~19:00 ※プロ野球中継のため休止
10月9日(火)18:00~19:00
10月7日(日)、14日(日)早朝3:00~4:00