♯38「放射線と戦う人々」チェルノブイリ救援・中部 理事長 神谷俊尚さん

posted 2012/12/18 category 未来への教科書 Documentary Report

汚染されたチェルノブイリ。日本からの支援

 チェルノブイリ救援・中部は、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故への支援活動をしているNPO団体だ。1990年、日本で反原発活動を行っていた活動家たち約80名が新聞の投稿をきっかけに結成。日本の民間団体による現地での救助活動ははじめてだった。精力的な活動を続け、最近では「菜の花再生プロジェクト」という、汚染された土壌を復興・浄化する5年がかりの計画を完遂させた。

2011年、福島第一原発事故。福島県南相馬市での支援活動も開始した

 福島の原発事故を知った理事長の神谷さんは、原発の危険性をもっと訴えていくべきだったと反省の念を抱いたという。その後、南相馬市市長などの助けを受け、市内の放射線量マップを作る契機を得る。マップを作ることでどの箇所にホットスポットがあるのか、線量の高低を誰が見ても分かるようになった。そして、2012年4月からは警戒区域から解除された小高地区も加えての放射線量マップを作成している。

年末には食品測定器も入手。野菜や果物などの測定も

 2011年の年末に測定器が導入された。練習を重ね、本格的に始動したのは翌年6月。放射能測定センター南相馬、通称とどけ鳥で、食料品の放射線量の測定を開始した。山菜類や柑橘系の果物は今でも高い数値が出ている。マップの作成と並行させながら、安全な食品、注意すべき食品などの情報を住民に提供している。

原発事故から1年半。住民達の意識に格差が広がり始めている

 「もうそろそろ大丈夫では?」事故から時間が経ち、子供を学校の校庭で遊ばせることに抵抗がない親も増えてきた。除染はしてあるとはいえ、100%安全な街ではない、と神谷さんは指摘する。住民に注意を呼び掛けるには、マップであれ食品測定であれ、活動を続けて情報を発信していくことが重要だ。それが南相馬に住む人に私たちが出せる答えだと、まっすぐに前を見据えた。

BS12ch TwellV

12月4日、10日、11日、16日に放送されました。