♯40「前を向くちから ~中高生が向かい合っている震災~」小高商業高校商業研究部顧問 教諭 中島裕さん

posted 2013/02/21 category 未来への教科書 Documentary Report

原発から20㎞圏内。退去を余儀なくされた商業高校

 福島県南相馬市小高区は、原発事故により警戒区域に指定され全住民の避難が余儀なくされた。区内にある福島県立小高商業高等学校もまた、津波による被害はなかったものの警戒区域指定を受け、県内の学校を間借りして授業を行っている。2012年4月16日、小高区の警戒区域は解除されたが、現在も生活する環境は整っていない。

高校生による風評被害への取り組み

 最初は生徒の「部活動を再開したい」という気持ちからはじまった。とにかく生活第一という避難生活の中、「なにがしたいか」「なにが出来るのか」を考えた。地域のJAや道の駅に話を聞いたところ、浮かび上がった課題が風評被害だったという。中島さんはじめ教師がサポートしながら、生徒達は地域の現状や放射性物質の特性を学んでいった。

放射能に対する正しい知識を広め、PRする”だいこんかりんとう”

 風評被害を無くすため、商業研究部の生徒と先生で“だいこんかりんとう”の販売を始めた。だいこんかりんとうは、地域の特産物である金房大根を使用したクッキーのようなかりんとうで、震災以前に小高商業高等学校がはじめて開発した商品だ。思い入れが強く、人気商品で消費者にも馴染みがあり、長期保存も利くという点でPR商品に選ばれた。

 復活しただいこんかりんとうは、県内だけでなく、東京や神奈川なども含めて6つのイベントに出向いてPRされた。

実際に販売することで分かった、消費者の反応や意見

 TVや新聞などのメディアを通して積極的に発信する中、情報がきちんと伝わらずに購入が控えられるなどの課題もあった。生徒はその度に「こう聞かれたらこう返そう」と議論を交わし合った。活動は功を奏し、県内外から大きな反響があった。

 中島さんは、福島県内の生産者にこそこの活動を知ってもらいたいという。支援される立場ではなく、自分達から生み出す大切さを高校生から感じとってほしい。身近で生徒の成長する姿を見てきたからこその願いだ。

BS12ch TwellV

1月1日、5日、8日、12日に放送されました。