未来への教科書 第66回「民からの復興 ~陸前高田市での2つの取り組み~」
岩手県陸前高田市。東日本大震災で津波により広範囲に被害を受けたこの町では、現在新たな町づくりに向けて様々な取り組みがなされている。行政の復興計画も進められる中、民間の力で復興へ進もうとする2つの取り組みを紹介する。
なつかしい未来創造株式会社
なつかしい未来創造株式会社は岩手県中小企業家同友会気仙支部のメンバーと、東京のコンサルティング会社ソシオ エンジン・アソシエイツのメンバーなどからなり、2011年11月に設立された。震災後人口が流出してしまった陸前高田市に人を呼び戻すために、また震災以前より魅力ある新しい町づくりを行うため、地域資源を活かした新しい産業づくりや起業家の誘致、育成などの活動をしている。
陸前高田を「起業を目指す人々が集い、学び、そして起業する町」にしようという強い思いがそこにはある。現在進めている「箱根山テラス事業」は、市内小友地区の箱根山の中腹に宿泊設備を兼ね備えた施設を建て、起業家育成の拠点とすると共に、一つの事業モデルとして運営していこうというプロジェクトであり、なつかしい未来創造株式会社がこれから生み出そうとする様々な事業のさきがけとなるものである。設立への思いや「箱根山テラス事業」への展望など、代表取締役社長である田村滿さんにお話を伺った。
NPO法人復興まちづくり研究所
NPO法人復興まちづくり研究所は、阪神淡路大震災を機に結成された「仮設市街地研究会」を母体とする団体で、「仮設市街地」という考え方を持つ。 抽選方式で入居者が決まる従来の仮設住宅ではなく、「被災した住民達が元のコミュニティを維持したまま共に仮設集落に住み、復興を目指す」という考え方である。現在、復興まちづくり研究所は陸前高田市広田町の長洞元気村で活動している。長洞元気村の人々は強い結束力と行動力を持ち、震災直後の避難生活を自分達の手で乗り越えたという過去がある。
「集落内で被災した住民達が皆で暮らす仮設住宅を作りたい」という思いから困難を乗り越え実現した仮設集落が長洞元気村である。当番組でも第44回(2013年5月7日放送)で取材し、復興へ向けた住民達の取り組みを紹介している。現在進んでいるのは「なでしこ工房建設プロジェクト」といい、食品加工場と番屋の二棟からなる建物を自力で建設する。
長洞元気村の女性たちのグループ「なでしこ会」はスタディ・ツアーや視察などで村を訪れる団体の受け入れをし、昼食や郷土菓子のゆべしを作り振舞っているが、そのための作業場所として食品加工場を建設し、ゆくゆくは現在の作業を生業として定着させたいというのがプロジェクトの内容である。自力建設のため人手の問題や資金面での苦労がある中で、時にはボランティアの手を借りて少しずつ建設は進んでいる。その様子を追いながら、プロジェクトに込められた思いを伺った。
放送日 2月4日(火)18:00~19:00 / 2月8日(土)27:00~28:00
2月11日 (火)18:00~19:00 / 2月15日(土)27:00~28:00