大船渡市立吉浜中学校で出前授業
<未来への教科書出前授業>
今回の出前授業の舞台は大船渡市立吉浜中学校。学校がある吉浜地区は、昭和8年の昭和三陸地震津波を機に、地域ごと高台に移転。2011年の震災では比較的被害が小さく「奇跡の集落」と言われています。1日先生は同じ大船渡市内で水産業を営む八木健一郎さん。八木さんのご提案で、座談会形式で進行しました。
全校生徒29名のうち、将来は漁師になりたいという生徒は4名。「一次産業に従事する若者が減っている。自分は大変でもそれをやらなければと思っている」と話す生徒に、八木さんは「楽しくなければ、お金にならなければ続かない。漁師って実はカッコいい。今までは土の中に潜っていた漁師がこれからは表舞台に立つ時代。漁師にステージを用意するのが自分の役目」と、答えました。
前半は大人しかった生徒達も後半には「八木さんの目指すゴールとは?」「学歴で本当に全てが決まるのか?」など活発に質問を投げかけていました。
八木さんは「水産業をやりながら、地域が統治されるひとつの事例をつくろうと、仕組みをつくっている」「学歴はひとつの尺度でしかない。物事はすべてただしく同時に間違っている、ただし、人的なネットワークができるというメリットがある」などと、と答えていました。
八木さんのお話に、生徒達がだんだん熱を帯びていくのが分かりました。彼らの真っ直ぐな目と鋭い質問が非常に印象的でした。
吉浜中学校では、吉浜の防災への伝統を受け継ぐべく、防災劇、防災マップの作作成など、地域の人たちと関わりながらの防災学習を進めており、それぞれ5つの取り組みについて生徒達から発表がありました。
八木さんは「中学生くらいから大人と一緒になって仕事する機会を作らないと、地域に人が残っていかない」。会社に中学生社員が来たらいいのに、と真剣に考える八木さんに、大船渡の未来を垣間見た気がしました。