♯38「放射線と戦う人々」福島大学人文社会学群経済経営学類 小山良太さん

posted 2012/12/18 category 未来への教科書 Documentary Report

現状の把握が何よりも大事

 小山さんは福島大学で農業や地域経済についての研究をしている。2011年の福島原発事故で農業の危機を感じ取り、復興支援機関「うつくしまふくしま未来支援センター」の立ち上げに参加したり、県内にモデル地区を設定して、100m四方の細かい放射線量マップの作成をした。放射線量を細かく測定することにより、福島の様々な状況が見えてきたという。

同じ地域内なのに、放射線量に大きな差が

 土地の高低差で違いが出たり、周りの山や水の流れから影響を受けたりと、線量に大きな差がでる地域があった。放射線分布マップを細かく整備する必要があると改めて感じた。

 どの農地がどの程度汚染されていて、作物にどんな影響を生むのか。どういった対策を取ればいいのか。2011年9月、うつくしまふくしま未来支援センターと連携し、県内でモデル的に放射線の分布マップを作り始めた。まず対象となったのは、福島県北部に位置する伊達市小国地区だ。

矛盾した地域。住民たちは

 小国地区の数十世帯は、年間の積算線量が20mSvを超える恐れがあるとして「特定避難勧奨地点」に指定されている。そのため避難せずに人が残る民家と、避難して無人になった民家とが入り混じり、地域としての矛盾を生んでいた。集落の活動はおろか回覧板も回せない。

 マップの作成作業は住民たちから有志を募った。自分たちで汚染の度合いを測定することによって意識が高まり、どこから除染すればいいかなどのより具体的な対策にも繋がったという。

政府や県、民間が互いに協力をすること

 各自治体・農協で独自に汚染マップを作る動きが広まっている。福島県は基準を統一する体制でいるが、原発事故で引き起こされたその他の問題の対応に追われているのが現状だ。小山さんは、国と県とで役割分担が必要だと語る。「実際にどういう状況なのかというのははっきり知りたい。農家を含めてね、みんな同じこと思ってますよ」。復興計画の地盤作りを目指して、小山さんの奔走は続く。

BS12ch TwellV

12月4日、10日、11日、16日に放送されました。