♯34「原発事故が引き起こしたもの~医療、行政、観光から見る福島~」 金山町観光情報センター オアシス センター長 吉川幸宏さん

posted 2012/10/09 category 未来への教科書 Documentary Report


観光業が収入源の町

 新潟県にほど近い場所に位置する町、福島県大沼郡金山町。地震による被害は軽微で済んだものの、観光客数が大幅に減少して経済的な打撃を受けている。この町の観光情報センターで働く吉川さんは、なんとか巻き返しを図ろうと試行錯誤を繰り返していた。震災後の5月の連休は団体観光客がまったくのゼロだったが、6月に入ると「福島を応援しよう!」という動きが高まり、少しずつではあるが客数が戻りつつあったという。しかし7月末、新潟・福島豪雨が発生し、また客足は遠のいてしまった。

追い打ちをかけた豪雨と、色濃く残る原発の影響

 7月末に起きた記録的な豪雨。降り始めた豪雨は数日間降り続け、ダムが放水し、集落が水に呑まれた。観光の要だった只見線も流出してしまい、甚大な被害を被った。現在に至っても未だ着工のめどは立っていない。

 豪雨で受けた被害の復旧と同時に、遠のいてしまった観光客の誘致のための施策が必要だ。福島は宮城や岩手に比べ原発の影響が色濃く残るため、今でも観光客数は伸び悩んでいる。吉川さんは春に花見のツアーを組んだが、一度は申し込みがあっても「やっぱり家族に止められたから」とキャンセルの嵐だったという。

町の体力作りのために、今すべきこと

 今の大沼郡金山町に、工場を誘致したり、農業で農地を広げるといった体力はない。観光収入が得られるような仕組み作りも、まだまだこれからだ。まずは少しずつ街を整備し、観光客を受け入れる体制を整えること。訪れた観光客が満足し、観光収入で地元民の生活が楽になれば、少しずつ前を向いて歩ける様になるのでは、と吉川さんは語る。

BS12ch TwellV

10月2日(火)18:00~19:00 ※プロ野球中継のため休止
10月9日(火)18:00~19:00
10月7日(日)、14日(日)早朝3:00~4:00