♯38「放射線と戦う人々」ゆうきの里東和 ふるさとづくり協議会事務局 営業部門チーフ 海老沢誠さん
福島県二本松市にある道の駅「ふくしま東和」は、NPO法人ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会が市から指定管理を受け運営している。250人を超える会員の3分の2は農家のおじいちゃん、おばあちゃんで、地元の野菜や特産物を販売。地域活性化に取り組んできた。しかし2011年3月の大震災と福島第一原子力発電所の事故。原発から60㎞離れた二本松市も大きな被害を受けた。
被害を受けてから一ヶ月、米の種まきの時期がやってきた。海老沢さんは情報を整理しながら、米を作るのか、止めるのかという話し合いを続けた。「作らないと何も見えてこない。とにかくやってみようという」。しかしいざ会員を呼び集めると、おじいちゃんおばあちゃんは既にいつものように田を耕して種を蒔いていたことがわかった。「この人たちはすごい」。動じないその姿勢に、驚きを隠せなかった。
呼びかけに応え、半分以上の会員が米作りを続けた。他の直売所に何も無い中、ふくしま東和には商品が山盛りという、利用者も驚く結果となった。
「地域のために、子どもたちのために、結果を出さなきゃいけない」
地域の人が安心して食べられるものを。農作物の放射線量を測定する必要があった。市民放射能測定所CRMSの協力を得て、機材を借り、測定室を造った。日本有機農業学会の大学の先生たちや企業も協力してくれ、やっと放射線量を測定するシステムが出来上がった。
現在、95%の野菜は「放射能不検出」の結果が出ている。米に関しても全国の平均値と変わらない。はっきりと数字に出すシステムは、自分達が自らの状況を把握し、今後の展開を見据えることにも繋がったという。
キノコの原木は福島県が国内65%の生産量を誇る。しかし放射線の被害により、今キノコ産業に危険が訪れている。山の落ち葉や木をどう処分、再生させていくのかが鍵だと海老沢さんは語る。山を再生させることが出来なければ、キノコ産業、ひいては福島全体が潰れていってしまう。次の世代へ繋げるために今なにをすべきか。その方法を模索している。
BS12ch TwellV
12月4日(火)、11日(火)18:00~19:00
12月10日(日)、16日(日)早朝3:00~4:00