未来への教科書-For Our Children-第107回「被災地に咲いた花」

posted 2015/10/12 category 未来への教科書 Documentary Report

 未来への教科書-For Our Children-第107回「被災地に咲いた花」

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 2011年3月11日に東北を襲った大津波。沿岸部の水田は海水につかり、稲作を一時的に諦め、田から塩を抜くために水を張ったまま放置されていた。同年の夏、その場所から見慣れぬ花が咲いた。青紫色の植物の名前はミズアオイと言う。全国的に絶滅危惧種に指定されている希少植物だ。ミズアオイは岩手・宮城・福島の沿岸部のところどころに咲いていた。

 昔、土の奥深くに埋まっていた種子が、津波によって土地が撹乱されたことから地表に現れ、芽を出したのではないか、と岩手県立大学の平塚明教授は考えている。ミズアオイは昔から日本人に愛されてきた植物だった。だが、米の収穫量をあげるために農薬を使用し、徹底的に排除してきたために絶滅しかけている。ミズアオイのことを調べていくにつれて、現れてきたのは被災地での植物をめぐる環境を保持することの難しさだった。

 岩手県立大学で砂浜植物を研究する島田直明准教授も同じような問題にあたっている。岩手県十府ヶ浦海岸の防潮堤工事によって、海岸の砂浜植物の行き先が失われつつあるのだ。十府ヶ浦の砂浜植物、とくにハマナスは、この地域で昔から愛されてきた植物だった。島田准教授は地元、野田村に住む人々と一緒に砂浜植物を守る活動をしている。

 東日本大震災を挟んで、日本の環境問題への意識は大きく後退している。復興を進めていかなければならない被災地で、生物多様性をどう考えればよいのか? 岩手県立大学の両教授に取材した。

 <放送日>2015年10月10日(土) 6:30〜7:00 27:00〜27:30

2015年10月24日(土) 6:30〜7:00  27:00〜27:30